トバ カタストロフ。 トバ・カタストロフ理論とは

人類が滅亡寸前の古代のカタストロフ理論は誤りと判明

トバ カタストロフ

・ 人類が絶滅の危機を迎えたトバ・カタストロフ理論はなかった 最近はとても火山の噴火が多く、今後もさらに巨大な火山の噴火が発生する可能性が考えられていますが、超巨大火山が激しい噴火を起こした場合には、大気中に極めて大量の火山灰が放出されるために、それらの灰や微粒子が日光を遮断し、 結果的に「地球規模での寒冷化につながる」ということは、よく言われることです。 私もそういうものだと考えていました。 そのような事象の中で、人類が経験した最も激しい火山噴火後の出来事に「トバ事変」という学説があります。 トバ・カタストロフ理論とも呼ばれるこの学説は、インドネシアにあるトバ火山が、今から 7万年ほど前に、人類が登場してからの地球上で起きた火山噴火としては最大級の噴火を起こし、それにより、地球は長い間、寒冷状態となり、アフリカなどの人類は大幅に減少したとされるものです。 以下のようなものです。 トバ・カタストロフ理論とは、今から7万年前から7万5千年前に、インドネシア、スマトラ島にあるトバ火山が大噴火を起こして気候の寒冷化を引き起こし、その後の人類の進化に大きな影響を与えたという学説である。 いまから7万-7万5000年前に、トバ火山が火山爆発指数でカテゴリー8の大規模な噴火を起こした。 この噴火で放出されたエネルギーはTNT火薬1ギガトン分、1980年のセント・ヘレンズ山の噴火のおよそ3000倍の規模に相当する。 劇的な寒冷化はおよそ6000年間続いたとされる。 地球はヴュルム氷期へと突入する。 この時期まで生存していたホモ属の傍系の種(ホモ・エルガステル、ホモ・エレクトゥスなど)は絶滅した。 現世人類も、トバ事変の気候変動によって総人口が1万人にまで激減したという。 このような学説で、人類はこの際に「人口 10万人から 1万人ほどにまで減少した」とされ、つまり、絶滅ギリギリの数にまで減ったと想定されています。 こういうトバ・カタストロフ理論という学説は、ある意味では「定説」となっているため、過去のことだけではなく、今後についても、たとえば、超巨大火山が噴火した場合は、同じような寒冷化に至るのではないということが言われます。 ところが、最近になって、 「ほとんどのデータが、トバ・カタストロフ理論の存在を否定している」 ことになっているのです。 つまり、トバ火山の大噴火は「 地球に寒冷化をもたらさなかった」可能性が高いのです。 地球の過去の気温の変化を見る方法として、南極やグリーンランドなどの氷床から、過去の気温の変化を検出する方法があります。 これにより過去の気温の推移を把握することができるのですが、最近見ました過去の地球の気温の推移には、 トバ火山の噴火による「寒冷化」が見られないのです。 たとえば、トバ・カタストロフ理論のような事象が起きていたとすれば、約 7万4000年前のトバ火山の噴火の直後から大幅な気温の低下が見られるはずですが、以下は、グリーンランドの氷床から見る気温の推移で、トバ火山噴火後は、長い間、特に気温の低下はなかったことを示します。 トバ火山噴火後の気温の推移(グリーンランドの氷床より) ・ 南極の氷床から見る気温の変化にいたっては、「トバ火山が噴火後の数千年は、むしろ気温が緩やかに上昇している」ことさえ見てとれます。 トバ火山噴火後の気温の推移(南極の氷床より) ・ もう少し広い範囲で、過去の地球の気温の推移を見ますと、かなり激しい変動を見せていまして、以下は、南極の氷床からの過去 14万年の北半球の気温の変化です。 過去14万年の北半球の気温の推移 ・ なお、グリーンランドなどの氷床からは、7万4000年前のトバ火山の噴火による火山灰が検出されていますので、どの時点でトバ火山が噴火したかは正確にわかります。 そのため、年代の正確な特定はできなくとも、「噴火後の数百年、数千年の期間」は特定できるのです。 ちなみに、もっと長いスパンで見ますと、地球の気温は、相当「 規則正しく、上下している」こともわかります。 以下は、過去 45万年の地球の気温の推移です。 ・ 上の 45万年の地球の気温の推移は、「実に規則正しい感じ」となっていますけれど、これについては以下の記事でも取りあげさせていただいたことがあります。 地球の気温の推移を見ていますと、結局は、トバ火山などの超巨大火山の噴火による気候変動とか、そういうことがあったということさえ、 一種の幻想だったことが、最近はっきりしてきているようで、先ほどの過去 45万年の規則正しい地球の気温の変化を見ていますと、地球の気温や気象の推移は、そういうイレギュラーな事変に左右されるものではなく、太陽を含めた宇宙からの影響によるサイクルを持つ規則正しい変化ということなのだろうなと。 また、「トバ火山の噴火が、人類を絶滅に追いやった」とする理論も、他の研究から否定されつつあります。 従来の学説では、トバ火山の噴火後、当時アフリカ大陸にいた現世人類の人口は、10万人から 1万人に急減したとされますが、2018年に、米アリゾナ大学の研究チームが、アフリカの湖底にあるトバ火山の噴火と同時代の植物の化石を調査したところ、 「トバ火山の噴火による影響はアフリカにはなかった」 ことがわかったことが、アメリカので報じられていたことがあります。 その後、アメリカ国立科学財団もニュースとして取り上げました。 2018年2月のアメリカ国立科学財団のニュースリリースより ・ 研究チームは、アフリカのマラウイ湖の湖底から、トバ火山の噴火のほぼ正確な時期を突き止め、噴火から 200年後までの状態を調査したのですが、従来の学説のように「トバ火山の大噴火の後に激しい寒冷化」が起きていたとすれば、「植物の植生の状態に変化が起きる」はずです。 ところが、トバ火山の噴火の後に、植生に大きな変化はなかったのでした。 研究チームは、アフリカには、トバ火山の影響はなかったと結論付けています。 ただし、この 7万4000年前のトバ火山の噴火が、「過去の地球で最大規模の噴火だった」ことは、ほぼ確かで、 には以下のようにあります。 74,000年前に起きた最新の超巨大噴火は、200万年前に起こったイエローストーンの超巨大噴火と並び世界最大級の噴火であった。 この噴火で火山灰は、インドやパキスタンでは5-7センチ降り積もり、中国南部では数センチの厚さで堆積し、東インド洋やベンガル湾の海底からや、グリーンランドの氷床コアからも検出されており、地球の各地に降り積もったことが確認されている。 地球で起きた過去の噴火を比較すれば、以下のようになっていまして、7万4000年前のトバ火山の噴火が、いかに巨大なものだったかがわかります。 下の図は、近代史での地球の大きな火山の噴火と、トバ火山の噴火を比較したものですが、まさに「比較にならない」ほど、7万4000年前のトバ火山の噴火は巨大であったようです。 ・ 噴煙の上や横にある数字は「マグマの噴出量」で、トバ火山のマグマの噴出量は「 2800」という数字がありますが、それに対して、最近の地球では非常に大規模な噴火だったアメリカのセント・ヘレンズ火山の噴火が「 1 」というあたりからも、トバ火山の噴火の超巨大ぶりがわかります。 しかし、当時、これだけ巨大な噴火が地球で起きたにも関わらず、先ほどの気温の推移のデータからは、 「地球で気温の変化は起きなかった」 可能性が高いのです。 このあたりから考えますと、地球の気温というのは、もっともっと大きな、人類の想像を越えるような巨大なシステムによって上下していると考えられるのですね。 地球の長期的な気温の変化は、トバ火山やイエローストーンのような超巨大火山の噴火などでも動じない。 まして、人為的などという理由はもう……。 トバ火山の噴火が地球の気温に大きな影響を与えなかったとすれば、今後の地球の気温の状態についても、結局は、地球の比較的正しい気温の変化のサイクルだけがすべてということになるのかもしれません。 あるいは、以下のような過去記事でご紹介しました、今後、アメリカで実施される可能性がある「太陽を暗くする」という試みなども、気温への介入はできないと思いますが、しかし、「予期せぬ弊害」だけはクローズアップされることになるのかなとも思います。 そして、現時点では、今後の地球は「過去 4000年の温暖化の時期」を終えて、ここから長い寒冷期間に入っていくという学説が支配的になっています。 これは以下の記事などで取り上げさせていただきました。 今後の気温がどのようになるかの正確な予測はできないでしょうが、どのようになっても、それは、火山や人為的要因が差し挟むものではなく、自然の掟ということになりそうです。 私たちは、毎日とか毎年とか、そういう短い単位で気温のことを考えることが多いですけれど、このあまりにも日常的な「地球の気温」という存在そのものが、私たち人類は「目に見えない巨大なコントロール下にいる」ことを教えてくれます。

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トバ・カタストロフ

トバ カタストロフ

[画像のクリックで拡大表示] およそ7万4000年前、現在のインドネシア、スマトラ島の超巨大火山(スーパーボルケーノ)が大噴火を起こした。 トバ噴火と呼ばれるこの出来事は、過去200万年で最大規模の火山噴火だった。 数千キロ先まで火山灰を振りまき、幅100キロにおよぶ噴火口を出現させた。 以来、噴火口は湖となっている。 この超巨大噴火が、世界的な寒冷化を引き起こしたとする説がある(トバ・カタストロフ理論)。 火山灰やすすが空を覆い、南アジアでは長期にわたって森林が失われたというのだ。 ただ、これが事実だとしても、インド中央部の人類は激しい環境変化の中を生き延びたとする研究成果が発表された。 インド、マディヤ・プラデシュ州にあるダバの発掘現場では、8万~6万5000年前の堆積物の層から、太古の石器が見つかる。 2月25日付けで英科学誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」に掲載された論文によると、噴火の前後で同じタイプの石器が使われ続けた。 したがって、1つの継続した集団がトバ噴火の影響下でも生き残ったというのが著者らの主張だ。 環境を激変させたとする説 トバ・カタストロフ理論は、「トバの超巨大噴火によって『火山の冬』が訪れ、氷河時代へ向かい、生態系は激変し、大気と景観に甚大な影響を与えたというものです」と、ドイツ、マックス・プランク人類史科学研究所の人類学者、マイケル・ペトラグリア氏は説明する。 だがペトラグリア氏の研究グループは、ダバの発掘地で、景観を一変させるほどの大きな打撃があったという証拠にまだ出合っていない。 「環境の変化がなかったというわけではありません。 しかし、発掘からわかる影響は、想像されてきたよりもかなり少なく、ここにいた狩猟採集者たちは、変化に適応できたのでしょう」とペトラグリア氏は語る。 ペトラグリア氏らのチームは、ダバの遺物が、これまでにアフリカ中期旧石器時代(約28万5000年~5万年前)のアフリカやオーストラリア、アラビア半島の遺跡で出土した同様の石器と一致すると考えている。 こうした石器技術の共通性から、研究チームは、ホモ・サピエンスが従来の説よりも早くアフリカを出ており、ダバの遺物はそれをさらに強く裏付けるとみている。 (参考記事: ).

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もしトバ・カタストロフの噴火が1815年に起きていたらどうなってい...

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トバ・カタストロフ 現生人類はその個体数の多さの割には、遺伝子的な多様性が他の生物に比べて乏しく、肌や髪の色、体格などに個性はあるものの、生物としては亜種がなく、みなほぼ同じ遺伝子を持っています。 この要因としてあげられるのが、人類はかつて極端に人口が減ったことがある、という説。 その減少の要因として注目されているのがトバ火山の大噴火です。 トバ火山は今のインドネシア、スマトラ島にあります。 世界最大のカルデラ湖がありますが、このカルデラを形成した3回の大規模噴火のうち、7万5千年前~7万年前頃に起こった大噴火は、噴出物が1000立方km、インドでも15cmの灰が積り、灰は遠くグリーンランドにまで達したといいます。 この噴火で地表の気温は下がり、それが数千年続いたとか。 現生人類も人口千人から1万人程度未満にまで減ったと言われています。 直接的な証拠があるわけではありませんが、人間の服に生息するコロモジラミは遺伝子的に見て7万年前ころにアタマジラミから分かれていることから、寒冷化にともなって人類が服を着るようになった結果とする説もあります。 また、人類がアフリカを出て世界中に広がる原因の一つに上げる説もあります。 ちなみにネアンデルタール人の絶滅の理由にも、火山説がある。

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