武富健治。 楽天ブックス: ルームメイト 上

武富健治『鈴木先生』

武富健治

児童漫画への想い 幼少時の「世界名作全集」、小3での「赤い鳥傑作集」との出会いなど、武富は何度かの児童文学熱を経験してきている。 そんな中、中3で読んだ永島慎二の「漫画家残酷物語」で、登場人物たちが語る「児童漫画」への想いに、武富も共鳴するようになったようだ。 その想いは、今も継続しているという。 大学では児童文学の研究サークルに所属し、英米系ファンタジーより「家なき子」などを愛好したという。 日本の作家では坪田譲二、新見南吉等の名が挙がる。 ここでは、福音館書店発行の『おおきなポケット』で絵コンテを担当した、絵本作家・片山健の漫画作品、それ以前に『おおきなポケット』に持ち込んだ自作のネーム、『ぴろう』掲載の児童文学作品「都会の先生」を紹介する。 それがまず、中三の頃から永島慎二氏や白土三平氏などの作品に触れるようになり読者としての趣味が変化し、それが数年のうちに、横光利一や志賀直哉といった近代日本文学やトーマス・マン、チェーホフといった外国文学に親しむようになったことでいっそう深い渇きとなり、作品を描く上での趣味に影響が及び、十代の末ごろからは「文芸漫画家」を名乗って、ここで見ていただけるような、いわゆる「売れ線」的要素・手法をかなり削ぎ落とした、いささか禁欲的とも言えそうな作風を追及することが活動の中心となりました。 (武富健治「あとがき」『掃除当番』太田出版、2007年) 文芸漫画家武富健治 青年の少し幻想的な日常の世界。 青年の生々しく重苦しい悩みを、私小説的にそのまま再現したものを読みたいとは、自分でも思いませんでした。 それで、自らの思いを中学生の少女などに託してみたのが「少女日常物」だったのですが、青年を青年のままに描こうとする場合、なにか仕掛けが必要だと感じ、幻想的な演出やサスペンスタッチが加わったのだと思います。 好きなものと得意なものは違う、という言葉がありますが、僕にとっては、どうもサスペンスタッチというものが、後者に当たるようです。 (武富健治「自作解説」『屋根の上の魔女』ジャイブ、2007年) *第3・4期に「屋根の上の魔女」の原画を展示します。 文芸漫画家武富健治 武富健治の作品世界では、手塚治虫のそれと同様、スターシステムが採用されている。 その代表的なスターの一人が鈴木章(ショウ)だ。 「鈴木先生」において、教師として生徒たちの心の変革を要求する「デビルマンのような人間」(武富自身の言葉)としての自分と、「小川病」に悩む一人の人間としての自分との間で、揺れ動く主人公を演じている彼は、「常識」や「風潮」としての倫理観に根本的な疑いを提起する役割を、多くの作品で果たしている。 手塚作品におけるロック・ホームのような「悪」の側面を持った鈴木章を、初期の主演作品の原画を中心に紹介する。 *第1・2期で「面食いショウの孤独」、第3・4期で「劇団ショウの罪と罰」の原画を展示します。 同人誌活動の軌跡 「武富健治の育ち方」のコーナーで見る通り、武富はすでに小学校時代から、自作の漫画を本や雑誌の形態に仕立てることに熱心であった。 中学校に進むと、「KT2」こと田中宏治との間で盛んに文通漫画として多くのミニ漫画本を作っている。 田中らとともに初めは中学校の卒業記念にと発行したコピー同人誌『モダンボーイズ』は、高校時代にも発行が続けられたほか、高校、大学では漫画研究会に所属、それぞれの会誌に携わっている。 大学卒業後は『ぴろう』のような創作文芸誌に参加する一方、商業誌での発表の機会になかなか恵まれない中、自作の発表機関として「胡蝶社」を立ち上げ、個人誌を多く発行していく。 ここではまず、『ぴろう』までの同人誌を一覧する。 同人誌活動の軌跡 大学を卒業した1994年、自らの個人誌を発行するために立ち上げたのが胡蝶社である。 武富の自筆年譜には、前年、「自信作『掃除当番』が1次審査にも及ばなかったことで、さすがに息が切れ、商業誌向けの活動を一切停止」したとある。 これが胡蝶社立ち上げの直接の背景だと言えるだろう。 その後もしばらく続く商業誌デビューに向けての苦闘、およびデビュー後もさらに続いた苦闘の傍ら、胡蝶社での活動は、大学時代などの旧作の刊行や胡蝶社のための描き下ろし作品の刊行の形で続けられた。 現在もコミック・マーケットやコミティア等の同人誌即売会に継続して参加しており、胡蝶社は武富の作家活動の重要な柱となっている。 同人誌活動の軌跡 江露巣主人名義での成人向け漫画の創作は、大学時代に漫画研究会の仲間と立ち上げた「ゴッドな漫画製作委員会」への参加に始まる。 同会発行の同人誌に発表した作品は、後に「江露巣主人大全」にまとめられており、また、商業誌にも「レイプ主人誕生!」を発表している。 その作品群は猟奇的内容を含む強烈なものだが、エロ漫画のパロディとしての性格を持つギャグ漫画的なノリで描かれている。 そこには武富のエロ同人誌作品一般に対する批判意識、文芸漫画で追求していた「そぎ落とす演出」ではなく中学時代の「ガンガン描き飛ばす楽しさ」の回復という意識、手塚や白土三平にもある「ヤバさ」の追求といった側面があり、「鈴木先生」の多面性を考える上でも重要だ。 武富健治の育ち方・総論編 幼いころ、ノートやスケッチブックやチラシの裏などに、好きな漫画やアニメ、特撮ものの絵を描いた経験を持つ人は、少なくないだろう。 だが、そこから長じてプロの漫画家にまでなるのはごく一握りの人間だ。 武富が保存するノートや大量の自作漫画は、どこにでもいそうな漫画好きの少年が、次第にどこにでもいるわけではない漫画青年となり、類まれな作家としての自意識をまとい、絵を、言葉を、コマ割りを、物語構成を、次第に洗練していく成長の過程を見せてくれる。 そうした資料群をこれだけの量保存していること自体にも現れている、武富の作家性の形成過程を、ご覧いただきたい。 まずは、小1の時のノートと小3の時の観察日記、武富の中学時代のミニ漫画本が詰められた缶などを紹介する。 武富健治の育ち方・小中学生時代編 小5での田中宏治との出会いは、武富にとって大きな出来事であった。 同じK.Tというイニシャルを持つ者同士、まさに「K.T」のペンネームを掲げて、二人で一人の漫画家としてデビューすることを目指して合作・競作を始める。 小6で北海道から東京に転向した後も田中との文通は続き、多くの「文通漫画」が、ミニ漫画本の形で二人の間で作り続けられた。 B5判のノートに描かれた作品も多く残されており、ここでは、中学時代に大量に生み出された作品のうち、武富の手による主要なものを紹介する。 その多くはSFヒーローものだが、学園ギャグものなどもあり、K.Tの出会いを語る自伝漫画なども描かれている。 個々のタイトルについて詳しくは、胡蝶社の旧ホームページを参照されたい。 武富健治の育ち方・大学時代編 「文芸漫画」という言葉とそれが標榜するものも明確になり、「面食いショウの孤独」で『アフタヌーン』四季賞準入選、「康子」でビッグコミック賞佳作と、プロデビューも目前というところまで迫ったが、アフタヌーンでもビッグコミックでも、担当者はつくものの、掲載にまでは到らず、苦悩が始まる。 一方大学2年からは「リテラリイ・ギルド」に参加し、会誌『Nicolet』で執筆、3年からは「ゴッドな漫画製作委員会」でのエロ同人誌活動と、漫研の活動と並行して、その創作意欲は衰えていない。 4年での卒業論文「現代日本における弱者至上主義に対する批判的考察」は、後に胡蝶社刊の『掃除当番・贖罪 他三篇』に全文収録されている。 ここにはその最終ページを展示した。 武富健治の育ち方・アシスタントとしての仕事編 武富のアシスタント歴は以下の通り。 中山乃梨子氏:大学1年の秋から以後数年ヘルプで。 高岡基文氏:1995年ごろ。 高田靖彦氏:1997年から2002年。 多田拓郎氏:2003年ごろ半年ほど。 アシスタント経験は、意外とていねいにやる部分、思った以上にざっくりやる部分等、商業誌の漫画の描き方を知ることに役立ったと武富は言っている。 ここではアシスタントとして働いた作品の一部、アシスタント仲間による合宿「明るい印税生活を目指す若獅子の会」で行なわれた、諸星大二郎「妖怪ハンター」を絵コンテに戻してから自分で再構成するという試みを示す資料、およびテレビ東京製作のドラマ『つげ義春ワールド』の劇中で使用された原稿のコピーを展示する。 初めて買ってもらった漫画本は『サザエさん』、小1のノートにはドラえもんが踊っていた武富は、その後どのような漫画に触れて育ってきたのか。 武富健治という作家は、すでに手塚治虫漫画全集や小学館漫画文庫が刊行され、トキワ荘やガロやCOMに思いをはせながら、漫画史上の名作を読もうと思えばいつでも読める、そんな環境があってこそ生まれたのだとも言えるだろう。 【古代戦士ハニワット・ケース】 「古代戦士ハニワット」の世界観がどのように変容してきたのかについては、胡蝶社刊行の「古代戦士ハニワット 月読伝説」に詳しい(当館2階閲覧室で閲覧可能)。 小学校時代の「原始戦士ハニワット」以来、長きにわたって温め続けてきたこの作品は、武富のライフワークとして、今もその準備のための取材などが継続している。 ここでは、高校時代にその世界観が格段にリアルになってからのハニワット関連原画と、今回の展覧会のために、武富自身の手で制作された最新型のハニワットの6分の1フィギュアを展示する。

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「武富」さんの名字の由来、語源、分布。

武富健治

武富健治が挑む、傑作サイコミステリー! 『鈴木先生』の奇才・武富健治が挑むのは、 今邑彩によるベストセラーミステリー『ルームメイト』(中公文庫刊)。 大学生の春海は、下宿先を探す途中で京都から来たという麗子と出会う。 勢いで「ルームメイト」となることになった二人だったが、 あるとき麗子が失踪。 春海は「ルームメイト」の正体を探るうちに、 深い闇へと迷い込んでいくーー 深田恭子・北川景子W主演!! その彼が、真っ正面から王道ミステリーに挑みます! ご自身が「新境地にチャレンジしたい」と仰るだけあって、 「まったく新しい武富健治」がここには詰まっています。 もちろん、原作はベストセラーなだけあって、 ミステリーとしての質は折り紙付き。 この秋、あなたも一緒に、人間の闇の深淵を覗いてみませんか? 【内容情報】(出版社より) 武富健治が挑む、傑作サイコミステリー! 『鈴木先生』の奇才・武富健治が挑むのは、 今邑彩によるベストセラーミステリー『ルームメイト』(中公文庫刊)。 大学生の春海は、下宿先を探す途中で京都から来たという麗子と出会う。 勢いで「ルームメイト」となることになった二人だったが、 あるとき麗子が失踪。 春海は「ルームメイト」の正体を探るうちに、 深い闇へと迷い込んでいくーー 深田恭子・北川景子W主演!! その彼が、真っ正面から王道ミステリーに挑みます! ご自身が「新境地にチャレンジしたい」と仰るだけあって、 「まったく新しい武富健治」がここには詰まっています。 もちろん、原作はベストセラーなだけあって、 ミステリーとしての質は折り紙付き。 この秋、あなたも一緒に、人間の闇の深淵を覗いてみませんか?.

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作者は『鈴木先生』の武富健治と大胆に路線編をしています。 現在1・2巻がAmazonKindleで配信中です。 また、きんどうでは7月5日までユーザー投票を受付中の 『次にくるマンガ大賞2019』のファン、もしくは関係者からの作品応援記事を募集しています。 ノミネート作品に応援中の作品があればぜひアツいパッションを叩きつけてください。 そして現れる謎の戦士・埴輪土 ハニワド それに呼応するように土偶もドゴゴゴゴォォと腕が伸びる!! そこからは2人だけの世界。 まわりを囲む警察も舞をまう巫女も全てを置き去りにして見つめ合う2人。 埴輪土が土偶に突進 ガシイイイイイツ!!! 組みあいですよ。 相撲のがぶり寄り。 組みあうふたりは微動だにしないけれども、2人の間には激しいぶつかり合いが起きているんですよ。 でもやっぱり大きいほうが強いんですよね。 じりじりと押される埴輪土。 ベキベキベキッ! 埴輪土の足元のコンクリートを削りながら押し返す。 もう、古事記の宿禰 すくね ・蹶速 けはや の勝負にもおとらない力と力のぶつかり合い。 両者一歩も引かない硬直状態。 二人とも相手の隙を伺いつつ、さて次の手は といったところで『古代戦士ハニワット』は30時間前まで物語が戻るんです。 ・・・ ・・・・・・ ちょ、ちょっとまて続きが気になるだろ! 1話の3分の1ページ残して30時間前に戻るな!!! 30時間前なんか戦い終わったあとでいいよ。 間違いなくこれから面白くなる戦いを始めるところで場面転換かよ。 あぁぁぁぁ、ドキドキ感、高鳴る展開、なんて子供向きじゃないんだ。 子供のための漫画なら1話ならヒーローの活躍をがしっと見せて心をわしづかみするのが王道。 でも、それは子供のための漫画、大人が読むヒーロー漫画はそれじゃいけない。 いきなり簡単に倒せない敵。 読めば読むほど広げられていく世界観。 おい!待つんだ。 そんなに大風呂敷広げて大丈夫かと思っている読者を尻目に、いやいや、この風呂敷はまだまだおおきく広がるんだよ。 作者がニヤニヤしている姿が目に浮かぶ。 敵の土偶は伝承ではこうだよね、でも伝承だから正確じゃないんだよね。 と読んでいるこちらは本当にこんなに風呂敷ひろげて畳めるのか? 不安が増すばかり。 1巻での戦闘シーンが10ページにも満たない。 でも面白い、たった数ページの戦闘に魅せられて1巻を買ったら2巻もそのまま買ってしまった。 2巻は戦闘シーンにかなりページがさかれている。 それでも最初に戦っていた埴輪土ではないんですよ。 今時見ないほどの熱血漢、3話にわたり続いた戦いの行方、そして1巻の10ページにも満たない戦いで完全に僕を魅了した埴輪土の物語は1話ずつ読むだけでは満足できない。 1話1話に情報を詰め込むから物語が進まない進まない。 読んでいるこちらはもう心配ですよ。 読んでいると石ノ森章太郎先生のサイボーグ009の『神々との戦い編』のように延々と戦いがないのではない。 雑誌連載だから盛り上がりのない話が続けば打ち切りもあるかもしれない。 それはあまりにも勿体ない。 続けば大化けしそうな空気のある『古代戦士ハニワット』が打ち切りになるのはあまりにももったいない。 かつて手塚治虫の名作『火の鳥』も人気がないために手塚プロ商事で自ら漫画雑誌を作らないと連載できなかった。 『火の鳥』は通して読めば間違いなく名作。 『火の鳥』は1巻通して読めば名作であることが解る。 『古代戦士ハニワット』も同じで1話だけでは面白さは分からない。 これからどうなるんだろうと感じさせるドキドキ感、傑作になるかもしれない漫画の空気。 作者である武富健治先生がこれからも好きなように大風呂敷を広げていくには、数々のヒーローを見て育ち、物語を楽しむことができる大きな子供たちの力が必要なんです。 『古代戦士ハニワット』を読んで感じるのは仮面ライダー、それも仮面ライダー1号。 布に隠れて埴輪土に変身する男の憂いを感じさせる眼差し。 土偶や埴輪土のディテールから醸し出される怪奇アクションドラマの濃さ。 特撮によって育てられた君なら間違いなくのめりこめる。 いやむしろ呑みこまれろ!! そして呑み込まれたそこの君!! 『古代戦士ハニワット』の連載が続くために今すぐ 「次にくるマンガ大賞2019」コミック部門で投票だ!!! Kindleで最新2巻まで配信中です.

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