骨 肉腫 と は。 中学3年で骨のがん「骨肉腫」を発症。少女はそれでも笑顔で前に進む FNSドキュメンタリー大賞2019

骨の肉腫

骨 肉腫 と は

松尾夢華(まつおゆめか)さん、18歳。 中学3年生の春、骨のがん「骨肉腫」を発症し、腫瘍が見つかった左足を切断。 抗がん剤治療、義足の生活、そして再発…。 少女に試練は幾度も襲ってきた。 それでも現実を受け入れ、前を向いて必死に生きていく。 日本では現在、2人に1人がガンにかかる時代だといわれている。 病気は誰にでも、いつふりかかってくるかも知れない。 もしその状況になったときどうするか。 前編では、病を発症して1年を超える入院生活を続けながらも、中学校の卒業、そして受験、高校生活まで進んでいく夢華さんを追う。 バスケットボール部の活発な少女が、中学3年で骨肉腫に 「夢は、走ることやね。 鬼ごっことか普通にできればいい」 そう話す松尾夢華さんは、長崎市の北部・琴海地区で暮らしている。 夢華さんは7人家族。 母親の南美江さんは福祉関係の仕事を、父親の俊之さんは、地元の店で仕出し料理や菓子作りをする職人だ。 5人兄弟の三女として生まれた夢華さんは、病気になることもなくすくすくと成長。 幼い頃から走ることが大好きだった。 小学生からは地元バスケットボールチームに所属し、中学校でもバスケ部に入部。 しかしキャプテンも務めるほどバスケに熱中していた中学3年の春、左足膝付近にがんが見つかってしまった。 15時間に及ぶ手術。 夢華さんと両親の複雑な胸の内 2015年9月。 両親が見守る中、夢華さんは手術に挑んでいた。 手術前の抗がん剤治療で髪の毛は抜けている。 病気がわかった時の気持ちを聞くと、親には言えない本音を明かしてくれた。 「何で?みたいな。 めっちゃ泣いた。 でも兄弟多いけん、親にそんな負担をかけたくないし、親の前では泣かない」 病名は骨肉腫。 小児の骨に発生しやすい骨のがんだ。 10代に発症しやすく、日本でこの病気にかかる人は1年間に150人ほどだと言われている。 発症の原因は、はっきりとわかっていない。 命を守るため、左足の膝上から下を切断することになった。 父・俊之さんは、「今日が夢華の新しい人生の始まりという感じですね…。 不安とかもあったけどなんか新鮮な気持ちだし。 無事に手術が済んでくれれば、ですね」と静かに思いを語る。 母・南美江さんは涙を見せながら苦しい胸の内を明かしてくれた。 「淡々としていましたね。 泣くわけでもないし。 1人で頑張っているのがやっぱり辛いですね。 普段は普通の反抗期の中学3年生という感じだったから、1人で物凄く我慢しているなという感じが…、本人が色々言わない分だけちょっと辛いですね。 もっとこう『なんで?』って言ってくれれば…。 親は何もしてやれない…」 15時間にも及ぶ手術は、足首の関節を180度反転させ、膝関節として代用する「回転形成術」。 足首には異常がなかったため、その足首を膝関節として代用するもので、自分の意識で膝を動かすことができ、義足で歩くときも安定するという。 温かい仲間に囲まれた夢華さんの15歳の目標 手術から一月が経った2015年10月、看護師に連れられて進んだ先には、サプライズで集まった中学校のクラスメイトたちがいた。 久しぶりの友人たちとの再会と、歌のプレゼントに笑顔を見せる夢華さん。 「嬉しすぎて。 今はみんなに会えないから、涙出そうでしたよ…、でもめっちゃこらえて。 泣いたらずっと泣きっぱなしだと思うから、それはちょっと嫌だなって」 翌年、2016年2月。 夢華さんは、病院内にあるたんぽぽ学級で、入院している子どもたちと学んでいた。 中学3年生の彼女は、まもなく高校受験。 得意教科は英語。 将来は英語を生かした仕事をしたいと話す。 15歳の誕生日には、家族の他に中学校の先生が駆けつけ、受験前の一時の心安らぐ時間となった。 「忘れられない15歳になったなって感じがしますね。 まさかここで迎えると思わなかったので。 今までは普通に家で迎えられるものだったので」と母親の南美江さん。 夢華さんに、15歳の目標を尋ねた。 「まずは高校受験に合格すること。 早く退院すること。 楽しく生きます。 あ、卒業式も! 大事な大事な卒業式、忘れちゃいかん」 笑顔と涙で溢れた卒業式と高校受験 2016年3月。 高校受験のため、一時帰宅していた夢華さんは、試験当日も参考書から手が離せない。 その参考書には、病院での勉強の日々を物語るように、たくさんの付箋がついている。 夢華さんは、自宅に近い高校を希望した。 自らの手で義足を付け、母の運転する車に乗り込み、受験会場に向かう。 道中、通っていた中学校の前を通ると、先生たちが校門の前から応援の声を投げかけてくれた。 2日間の日程で行われた公立高校の入試は、抗がん剤治療中で免疫力が下がっていることから、別室で試験を受ける。 試験後、再び病院に戻った夢華さん。 この日も抗癌剤治療が始まる。 抗がん剤は、正常な細胞にも影響を与えるため、吐き気やだるさ、脱毛、口内炎など、さまざまな副作用がある。 しかし夢華さんはいつも全力で乗り越えてきた。 目標の1つだった仲間たちと一緒に中学校を卒業すること。 その日を迎えることができた夢華さんは、車から直接卒業式が行われていた講堂へと向かっていく。 自分の力で一歩一歩噛みしめるように壇上に登り、卒業証書を受け取った。 「卒業証書、松尾夢華。 中学校の過程を修了したことを証する」 笑顔と涙が入り混じった卒業式の後は、高校の合格発表だ。 結果を見に行ったのは母親の南美江さん。 「ありました、ありました。 ちょっと夢華に教えてやらんとね」と興奮しながら電話をかけ、自宅で待つ愛娘に結果を伝えた。 「もしもしおめでとう!受かっとったよ」 終わりが見えた抗癌剤治療 2016年4月。 高校生になった夢華さん。 入学式には出席したものの、抗がん剤治療のため入院生活が続いている。 抗がん剤治療は、辛く孤独な戦いだ。 母親の南美江さんは、その長く辛い治療生活の終わりが見えてきたことに安堵の色を見せた。 「治療が始まると『早く家に帰りたい』なんて言ったりするけん。 でも、あと2回。 あと2回っていうのが大きいみたいですね」 夢華さんの義足は、長崎大学病院の近くにある義足の製造所「長崎かなえ」で作られたものだ。 義足を手がけた二宮誠さんは、彼女に初めて会ったときの印象をこう語る。 「平成27年の10月7日に会ったと手帳に書いています。 中学生で女性だってことで非常に気を遣いましたね、気落ちしてますから、あまり元気ないし。 時間はかかっていますよ。 仕上がったのが翌年の3月」 夢華さんの義足は、膝の高さ、足の向きなど細かく調べ、5か月をかけて作られた。 「2本目のときは元気があって、『こうしてほしい、ああしてほしい』と積極的でしたね」と二宮さん。 「やっぱり切断したり、機能を失うと非常にがっかりして、最初はあまり義足に期待しないじゃないですか。 でも義足を履いているうちに、私も一般の人と同じようなことができるんだというふうに、希望を持っていくことがいいですね」 2016年6月。 抗癌剤治療が終わり、待ちに待った退院の日。 入院生活は1年1か月にも及んだ。 迎えに来てくれた家族に、その長い入院期間で溜まったたくさんの荷物を持ってもらう夢華さんは、「やっと帰れる」と晴れやかな表情だ。 ナースセンターにお別れの挨拶に向かうと、家族のように接してくれた看護師たちは涙が溢れ言葉にならない。 いよいよ夢華さんは、本格的な高校生活を迎える。 後編では、再発、そして続く治療と戦いながらも、高校生活を楽しむ夢華さんの姿を追う。 松尾夢華さんは2020年1月11日に亡くなられました。 夢華さんのご冥福を心からお祈り申し上げます。

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骨肉腫 (こつにくしゅ)

骨 肉腫 と は

は、成長期の子どもに生じることが多い「骨のがん」として知られています。 患者数自体は非常に少ないものの、適切な診断と治療が行われない場合、患者さんの生命やQOLを脅かすことにもなる重大な病気です。 では、どのような症状があるときに、骨肉腫の可能性も考えて病院を受診したほうがよいのでしょうか。 国立がん研究センター中央病院・リハビリテーション科・科長の川井 章先生にお伺いしました。 診療科目の名称は、院内標榜を掲示しています。 骨肉腫とはどのような病気? 成長期にみられることが多い悪性腫瘍 こつにくしゅ とは、成長期の子どもや若年成人などに好発する悪性腫瘍のひとつです。 膝周りなどに発生することが多く、悪性腫瘍そのものが新たな骨を形成するという特徴があります。 悪性腫瘍と聞くと 癌 がん を連想される方も多いでしょう。 癌と肉腫にはどのような違いがあるのでしょうか。 癌と肉腫の違い ・癌: 上皮細胞から発生する悪性腫瘍のことを指します。 上皮細胞とは、体の表面や 管腔臓器 かんくうぞうき の表面を覆う細胞です。 「胃癌や肺癌は体の内部にできる悪性腫瘍では?」と疑問に思われた方もいるかもしれませんが、これらの悪性腫瘍は胃の粘膜上皮細胞や気管支・肺胞などの上皮細胞など、実は体の外(外界)とつながっている細胞から発生するため、癌に分類されるのです。 癌は一般にリンパ節への転移をしやすいことが知られています。 ・肉腫: 脂肪や筋肉、骨の細胞など、体の支持組織である 間葉系細胞 かんようけいさいぼう から発生する悪性腫瘍のことを指します。 これらの細胞は上皮細胞とは違い、外界には接していません。 肉腫は、がんと異なり血流にのって肺に転移しやすいことが知られています。 骨肉腫は骨を作る性質を持つ悪性腫瘍 骨肉腫とは、肉腫のうち「腫瘍細胞自身(そのもの)が骨を形成する性質」を持った悪性腫瘍のことを指します。 実際には骨肉腫の大半が骨から発生するため、「骨にできる悪性腫瘍が骨肉腫である」と捉えられてしまうこともあります。 しかし、骨から発生する肉腫には、骨肉腫以外にもやなどの肉腫が存在します。 また、頻度はごく稀であるものの、骨肉腫が筋肉や脂肪など骨以外の組織から発生することもあります。 これらは骨外性骨肉腫と呼ばれます。 骨肉腫の患者数 は患者数の少ない希少がん *のひとつです。 日本整形外科学会・国立がん研究センターが取りまとめた「全国骨腫瘍登録一覧表 平成27年度」によると、2015年の骨肉腫の総数は全国でちょうど200例となっています。 希少がんとは:年間発生数が人口10万人あたり6例未満の悪性腫瘍のこと。 骨肉腫は代表的な希少がんのひとつ。 骨肉腫の発症年齢と男女差 成長期にあたる年齢に多い は、成長期にあたる年齢の方に多くみられます。 「全国骨腫瘍登録一覧表 平成27年度」によると、2006年~2015年における骨肉腫の発症年齢のピークは15~19歳、次いで10~14歳となっています。 高齢化に伴い、近年では高齢者の骨肉腫の報告も増えていますが、これらは骨盤や軟部組織に多い傾向がみられます。 男女比では男性の方が多い 同データによると、2006年~2015年に登録された骨肉腫の男女比は1031例:794例と男性の方がやや多くなっています。 これは男女の持つ細胞量の差に関係しているのではないかと推測されています。 骨肉腫の原因 骨の成長と関与している可能性も を発症する原因は、現在のところ完全には解明されていません(2018年9月時点)。 ただし、体が大きく成長する小児~思春期の方に多くみられることから、体の成長期に細胞分裂が活発に起こることに関連して生じる可能性が高いと考えられています。 骨肉腫と体の成長との関連は、骨肉腫が生じやすい部位からも示唆されています。 骨肉腫が最も生じやすい部位は、股関節と膝関節をつないでいる太ももの骨、 大腿骨 だいたいこつ の遠位(膝側)の骨幹端部です。 骨幹端部とは、身長が伸びるときに活発に細胞分裂が起こる骨端軟骨(成長板)のやや骨幹寄りの部分を指します。 この部分では、体の成長に合わせて、骨の形成と形の作りかえ(骨の改変)が活発に行われています。 このとき、活発に分裂が起こっている細胞に何らかの異常が生じて骨肉腫が発症すると考えられているのです。 骨肉腫は、大腿骨遠位のほか、すねの骨である 脛骨 けいこつ の近位(膝側)や、肩関節と肘関節をつなぐ 上腕骨 じょうわんこつ の近位(肩側)にも発症しやすいことが知られています。 脛骨近位や上腕骨近位も、骨が成長するときに細胞分裂が活発に起こる成長板がある部位です。 進む遺伝子解析 他のがんと同じように、骨肉腫においても遺伝子異常の解析が進められています。 現在のところ、骨肉腫のなかには、 P53遺伝子に異常がみられるもの、 Rb 遺伝子に異常がみられるもの、そしてこれらの遺伝子に異常がみつからないものがあることがわかっています。 しかし、なぜこれらの遺伝子に異常が起こるのか、また、その遺伝子異常が生じるとどうして骨肉腫ができるのかといったことに関しては、まだ解明されていません。 なお、遺伝子の異常により骨肉腫が生じることは示唆されているものの、骨肉腫は親から子へと遺伝する遺伝性疾患とは異なると考えられています。 二次性の骨肉腫 骨肉腫には、何らかの原因疾患(先行疾患)があることで生じる二次性のものもあります。 二次性骨肉腫の原因疾患としては、 網膜芽細胞腫 もうまくがさいぼうしゅ という目の病気などがあります。 また、放射線治療も二次性骨肉腫を引き起こすことがあります。 骨肉腫の症状 痛みと腫れ の代表的な症状は痛みと腫れです。 典型例では、次に掲げる部位に持続的な痛みや腫れがみられます。 症状が現れる部位• 大腿骨遠位:太ももの膝に近い部位• 脛骨近位:すねの膝に近い部位• 上腕骨近位:上腕の肩に近い部位 このなかでも大腿骨遠位の成長板付近は骨肉腫が最も発生しやすい部位であり、痛みや腫れも膝の周辺に現れることが多くなっています。 関節そのものではなく、関節から少し離れた部分(骨幹端部)に症状があるという患者さんの訴えは、骨肉腫の診断のために役立ちます。 膝関節の隙間(関節裂隙)そのものに痛みや腫れが生じている場合は、や靱帯断裂など、関節の損傷である可能性が疑われますが、骨肉腫では膝関節から数cm離れた成長板の近く・骨幹端部に症状が現れる傾向があります。 痛みの特徴 骨肉腫の痛みの特徴は、1か月~数か月以上にわたり長く続くことです。 成長期の子どもが「膝周りが痛む」と訴えている場合、その正体は成長痛や過剰なスポーツ活動を原因とした痛みであることがほとんどです。 しかし、症状が徐々に強くなっていく場合や、安静にしても痛みが持続する場合には、背後に骨肉腫のような病気が隠れている可能性も考え、医療機関を受診したほうがよいと思います。 腫れの特徴 体表の腫れは、体の内部に発生した骨肉腫が大きくなることで現れます。 冒頭でも述べたとおり、骨肉腫とは「骨を新たに作る性質を持った悪性腫瘍」です。 腫れの正体も骨であるため、触って動かそうとしても硬くて動かないという特徴があります。 また、腫れていても赤みなどはほとんどみられません。 痛みや腫れが続く場合、何科を受診すればよい? 整形外科 を疑う症状がみられる場合には、まず整形外科を受診することをおすすめします。 きちんと教育を受けた整形外科専門医であれば、次の記事で紹介する画像検査や血液検査を行うことによって、ある程度まで診断をつけることができます。 これらのスクリーニング検査により、骨肉腫など腫瘍の可能性が高いと判断された場合は、がん専門病院や大学病院など、より専門的な施設へ紹介となります。 次の記事では、骨肉腫の検査と治療、予後について解説します。

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肉腫(サルコーマ)

骨 肉腫 と は

骨肉腫とは 骨組織に原発する悪性腫瘍で、直接類骨(骨組織の構成要素で基質と繊維からなるもの)、あるいは骨(骨組織の構成要素でリン酸カルシウムで作られているもの)を産生する悪性腫瘍です。 骨原発性悪性腫瘍のなかでは最も頻度が高い腫瘍です。 骨肉腫の頻度、年齢、性差 人口100万人あたり、1年間に3人の頻度で発生する非常に珍しい悪性腫瘍です。 あらゆる年齢に発生することが知られています。 10歳代が60%で、20歳代が15%を占め大部分が若年者です。 しかしながら高齢者にも発生することがあり、注意が必要です。 女性より男性の発生が若干多い腫瘍です。 骨肉腫の原因 水道水に加えられているフッ素が原因とする説がありますが、日本ではフッ素は加えられていないため無関係です。 それ以外は原因不明の悪性腫瘍です。 骨肉腫の発生部位 膝(大腿骨遠位と脛骨近位)が60%、股関節が15%、肩関節が10%、顎が6%という順番の発生頻度となっています。 骨肉腫の病理組織標本。 悪性度の高い腫瘍細胞がみられ、一部で骨を産生していることがわかります。 骨肉腫の治療法 現在骨肉腫の標準治療法は新補助化学療法(術前化学療法、手術、術後化学療法の組み合わせ)と患肢温存手術が施行されます。 温存手術の適応がない場合のみ肢切断術が行われます。 骨肉腫が診断された時点で肺転移が多く見られること、肺転移が見られない場合でも細胞レベルでは肺転移が生じている可能性が高いことから、手術の前に化学療法を施行することが標準となっています。 1%と非常に良好な治療法です。 手術10週間前から高容量メトトレキサート、シスプラチン、アドリアマイシンを2-3クール施行し、手術を行います。 1クールで腫瘍が進行した場合、この3剤以外のイフォスファミドを2クール施行します。 手術の標本で化学療法の効果判定を行い、効果があった場合、術前と同じ化学療法を術後に施行します。 効果が乏しい場合、イフォスファミドを2クール施行し、最後に高容量メトトレキサート、シスプラチン、アドリアマイシンを1クール施行します。 骨肉腫の予後 新補助化学療法施行前の5年生存率は30-40%程度でしたが、術前から化学療法を施行することで5年生存率は50%以上となりました。 今後も新しい抗がん剤が出現することでさらなる予後改善の期待があります。 更新日:2012年06月29日.

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